鴨川泳いだこいのぼり
Carp streamer swam in Kamo river
1983
Site/ Sanjyo Kamo River Kyoto 三条大橋付近鴨川内京都市
「Art Net Work '83 様々な相互作用」 出品作品 ※全国に先駆け開催された京都市の中心市街地各所に同時期に作品を設置するアートプロジェクト。京都市立芸術大学の学生が中心となり実行委員会を組織し、「Art Net Work '83 様々な相互作用」として京都市内の公共空間、ギャラリー、ライブハウスなどを活用して企画運営された。ほとんど未経験の学生による手探りの運営で、その事務局の一人として僕自身も関わり、この作品を実現した。
長さ5mの自作の染色作品(こいのぼり)13点を京都市の三条大橋の付近の鴨川に設置した。
この作品制作の為に150mの綿布を購入、友禅染(糊の筒描き)の手法で2ヶ月かけて制作した。展示会場として京都三条大橋付近の鴨川の中を想定して制作したが、その場所の使用許可をどのような手続きでもらうのかがまったくわからず、仕方なく無許可で展覧会初日の早朝より京都情報社のメンバーとともに4時間の水中作業で設置。しかしその夕方には設置したはずの作品が全くなくなってしまうという事態が生じる。
そのことが真夏のミステリーとして全国のテレビや新聞に報道される。その報道により京都府土木局が河川管理法上の障害物として撤去したことが判明。京都府土木局が依頼した水中作業専門の土木業者に撤去作業を委託したとのこと。撤収費用は数十万に及んだとのこと。京都府土木局が作家や大学に相談もなく撤去したことに対し、当時京都市立芸術大学の学長だった梅原猛が緊急教授会を招集、大学学生の芸術作品の無断撤去に対して、京都市から京都府に対して正式な抗議をすることが決定されたらしく、数日後教授に促されて京都府土木局に謝罪に行ったところ、応接間に通され、茶菓子まで出てきて謝罪されてしまった。僕としても許可を取りたかったがどのような手続きでどこに許可を取らなければならなかったかわからなかったということ。市役所や警察などに相談したがだれも教えてくれなかったことなどを訴え、本来請求されるはずだった数十万の撤収費用は全額土木局が支払うことになり、無許可で展示してしまったという始末書だけ提出して収まることになった。
空間のシステムが持つ深さと面白さに出会い、大きく人生を変えるきっかけとなった実質のデビュー作品。
下記映像は2022年兵庫県立美術館で開催された関西80年代の展覧会に出品した映像 1983年当時にこの鴨川泳いだ鯉のぼりの一連の活動資料として作った作品ファイルを本人が解説して読み解いております。なんという恥ずかしい映像。
下の映像は当時同じプロジェクトの中でビデオ撮影をして歩いていた「虚像の行進」という表現の中で、作家がたまたま見つけて撮影したドキュメントの映像。20年ぐらいたった頃にこの映像があると知り合いから連絡をもらい提供してもらいました。
当時の詳しい話のインタビューは http://www.log-osaka.jp/article/index.html?aid=83